アレルギー性鼻炎|海老名こじろう耳鼻咽喉科|海老名駅近くの耳鼻科

鼻の病気

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎

「アレルギー性鼻炎」とは、鼻の粘膜にハウスダスト(ダニ・カビ)や花粉など特定の物質(アレルゲン)が入ることで、“体の防御反応”として、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの鼻炎症状が起きる病気です。

鼻アレルギー診療ガイドライン(2016年)によると、国民の約4割がアレルギー性鼻炎と診断されており、罹患数第一位の「国民病」です。

アレルギー性鼻炎は重症化すると、不快症状による睡眠不足、集中力の低下、仕事や学業へ影響を及ぼすなど、生活の質(QOL)の低下につながりやすく、自然治癒が難しい病気です。 しかし、早めに治療することで症状を抑えることが可能で、近年はアレルギーそのものを治す治療も始まっています。詳しくは舌下免疫療法をご覧ください。

つらい症状でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

アレルギー性鼻炎の症状は?

アレルギー性鼻炎の三大症状は、「くしゃみ、鼻水、鼻づまり」です。 風邪ではないので明らかな発熱はなく、透明なサラサラとした鼻水が止まらなくなったり、くしゃみを連発したり、鼻づまりが強いと息苦しくなったりします。

また、鼻症状以外にも次のような部位に、症状が現れることもあります。

耳……かゆみ 目…かゆみ、充血、涙が出る(アレルギー性結膜炎)
のど……イガイガ感、かゆみ、乾燥による痛み
皮膚……肌荒れ(ヒリヒリ感、かゆみ)
その他……頭痛(頭が重い感じがする)、においが分かりにくいなど

ほかにも、不快症状が続くことで、仕事や勉強の集中力の低下、慢性的なイライラや憂鬱、疲労感を感じる、睡眠障害(寝付けない、途中覚醒、眠りが浅いなど)を引き起こすことがあります。

「アレルギー性鼻炎」の原因と発症のしくみ

アレルギー性鼻炎には、一年を通じて症状が続く「通年性」と決まった季節だけに症状が出る「季節性」があり、発症の原因(アレルゲン)はそれぞれ異なります。

通年性アレルギー性鼻炎の原因:ハウスダスト(ダニ)

ハウスダストとは、家の中のちりやほこり、ダニなどの混合物です。 ハウスダストの成分のほとんどはダニですが、ペット(犬、猫、ウサギ、ハムスターなど)の毛や昆虫、真菌(カビ)なども含まれます。

季節性アレルギー性鼻炎の原因:花粉

「花粉症」は季節性アレルギー性鼻炎として、植物の花粉が飛ぶ時期だけに症状が現れるのが特徴です。
多くの場合、目の症状(アレルギー性結膜炎)やのどの炎症などと一緒に現れます。
花粉症の原因となるアレルゲンは、春に花粉が飛散するスギやヒノキだけでありません。
春以外の季節に飛散する花粉や、特定の地域で飛散する花粉など含めて、日本国内だけでも約60種類の花粉症が確認されています。

神奈川県近郊では、次のような植物の花粉の飛散が確認されています。
  • 春(2月~5月頃)……スギ、ヒノキなど
  • 夏(5月~7月頃)……カモガヤ、オアワガエリなどのイネ科の雑草
    ※イネ科の雑草は、種類によって9月頃まで飛散することもある。
  • 秋(8月~10月頃)……ススキ・ブタクサ、ヨモギなどの草木

「アレルギー性鼻炎」発症のしくみ

ハウスダストや花粉などのアレルゲンが鼻の粘膜に付着すると、異物を排除する働きを持つ“免疫”によって抗体(IgE抗体)が作られ、蓄積していきます。

抗体の蓄積量が一定量(個人差あり)をオーバーすると、次にアレルゲンが体内に入ってきた時に「抗原抗体反応(=アレルギー反応)」が起こり、くしゃみ、鼻水、目のかゆみ・涙目などが起こるようになります。

「アレルギー性鼻炎」の検査とは?

アレルギー性鼻炎は、自覚症状および他覚所見から総合的に判断しますが、最終的に原因(アレルゲン)を特定するためには、「鼻汁好酸球検査」や「血液検査」を行い診断します。

①問診

自覚症状や発症した時期、他のアレルギー疾患の有無、ご家族のアレルギー性疾患歴など、詳しくお伺いします。

②鼻鏡検査

専用のスコープで、鼻の粘膜の状態を確認します。
副鼻腔炎・鼻中隔弯曲症(鼻の中の仕切りが片方に寄っている状態)・急性鼻炎など、他の病気があるかどうかの確認も併せて行います。

③鼻汁好酸球検査

鼻炎症状の原因が、アレルギーによるものかを判断するための検査です。
鼻水を採取して、白血球の一種である好酸球(こうさんきゅう)という細胞が増加していれば、アレルギー性鼻炎と疑われます。

④特異的IgE抗体検査

アレルギー性鼻炎の原因となるアレルギー(アレルゲン)を特定する血液検査です。
アレルゲンの種類やアレルギー反応の強さを確認することができます。指先から採血して20分ほどで結果が分かる「イムノキャップラピッド」という検査も実施しています。

そのほか、鼻粘膜誘発検査や皮膚パッチ検査で、アレルゲンの確認や手術の適応可否・効果測定を行う場合もあります。

「アレルギー性鼻炎」の治療とは?

「アレルギー性鼻炎」治療は、薬などによる対症療法が一般的であり、「花粉症を治すことはできないが、日常生活に支障がないレベルまで症状を抑えること」を目的としています。

また、近年、アレルギーそのものの根治を目指す「アレルゲン免疫療法」や症状が出る前に予防的に薬を服用する「初期療法」も行われています。

① 薬物療法

アレルギー性鼻炎の基本治療です。
最近では、眠くなりにくい・口が乾きにくいなど、副作用が出にくい薬も多く開発されています。
アレルギー性鼻炎の症状の出方には、個人差があるため、患者さん一人一人に合わせ処方します。

  • 抗ヒスタミン薬……くしゃみ・鼻水を抑える作用。即効性がある。
  • 抗ロイコトリエン薬(抗アレルギー薬)……くしゃみ・鼻水のほか、特に鼻づまりを改善する作用を持つ。
  • ステロイド点鼻薬……炎症を抑え、強い鼻づまりを改善する作用。鼻の中で噴霧する局所使用で体内にほとんど吸収されないことから、副作用の心配は無し。
    ※効き目がマイルドで、体質を改善する作用がある漢方薬(小青竜湯など)を使用する場合もあります。

② レーザー治療

鼻づまりの症状が強く、薬物療法だけでは症状が改善しない場合やできるだけ薬を飲みたくない方には、レーザー治療を行う場合もあります。

レーザーを腫れた鼻の粘膜に当てて、焼く(蒸散する)ことで鼻の通りを良くするだけでなく、アレルゲンが鼻の粘膜に付きにくくなることが期待できます。

レーザー治療は局所麻酔で行う日帰り手術で治療時間は15分程度(麻酔込みで1時間程度)、健康保険が適用できます。

③ アレルゲン免疫療法(減感作療法(げんかんさりょうほう))

アレルゲン(抗原)のエキスを少しずつ増量しながら摂取し、体に慣らしていき、約3~5年の時間をかけて、アレルギー反応を起こりにくくする治療です。

現在、アレルギー性鼻炎を唯一完治させる可能性がある治療法であり、ダニ(ハウスダスト)・スギ花粉ともに約80%の方に有効と報告されています。健康保険での治療が可能です。

【舌下免疫療法について】
初回のみ、副作用の確認のため病院で投与が必要ですが、2回目以降は自宅で1日1回舌の下に治療薬を入れて、しばらく経ってから飲み込みます。
皮下免疫療法(注射)に比べ、副作用が少なく、手軽に治療を行えます。
ただし、現状、日本国内ではダニ(ハウスダスト)アレルギーおよびスギ花粉症のみ治療が可能です。詳しくは舌下免疫療法をご覧ください。

よくあるご質問

1)「アレルギー性鼻炎」は、子どもでも発症しますか?

近年、アレルギー性鼻炎発症の低年齢化が進んでいます。
日本耳鼻咽喉科学会・学校保健委員会の調査(2003年)によると、アレルギー性鼻炎の発症率は小学生が9.3%、中学生が11.1%であり、さらに鼻アレルギー診療ガイドライン(2016年)では、特に10歳未満のお子さんの場合には、スギ花粉症よりもダニ(ハウスダスト)による通年性アレルギー性鼻炎の頻度が高いとする報告があります。
また、親御さんの喫煙による受動喫煙も鼻の粘膜を痛め、発症しやすくなる要因の一つとされているので、お子さんの前では禁煙するようにしましょう。

2)アレルギー性鼻炎は予防できますか?

アレルギー性鼻炎の予防で大切なのは、「できるだけアレルゲンを寄せ付けないこと」です。
花粉症対策では、花粉が飛散する時期には、風が強い日や晴れた日は外出を控える、マスクや花粉対策用メガネを着用する、洗濯物を外に干さない、家に入る前に花粉を払い落とすなどの対策を行いましょう。
ハウスダスト(ダニ)対策では、こまめに換気を行い水拭き中心の掃除をする、ダニの温床になりがちなカーペットは使用しない、ペットとは一緒に寝ないようにしましょう。
また、体調不良はアレルギー症状の悪化につながりやすいので、日頃から規則正しい生活を心がけ、疲れやストレスを溜めないようにすることも大切です。

3)妊娠中や授乳中でもアレルギー性鼻炎の治療は可能ですか?

妊娠中は、ホルモンの変化などによって、症状が悪化しやすくなります。
妊娠週数に合わせた治療を行いますが、生活環境の見直しを行って、「アレルゲンを回避する」セルフケアも大切です。

・妊娠初期(15週まで)
赤ちゃんの体の器官が形成される重要な時期なので、基本的に薬を使わずにできる対症療法を行います。(温熱療法、蒸しタオル、入浴は、特に鼻づまりに有効

・妊娠5か月以降や授乳中
重症度など鑑み、医師の判断によって、安全性の高い薬を使うこともあります。
また、妊娠判明後に舌下免疫療法を始めることは、安全性が確立されていないためお受けいただけません。(※免疫療法中に妊娠した場合には、原則的に治療継続は可能です。)

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