舌下免疫療法|海老名こじろう耳鼻咽喉科|海老名駅近くの耳鼻科

鼻の病気

舌下免疫療法

舌下免疫療法

ダニなどハウスダストが原因の通年性アレルギー性鼻炎や花粉症の治療法には、薬物療法・レーザー治療のように一時的に鼻炎症状を抑える「対症療法」以外にも、アレルギー体質自体を改善することで完治できる可能性がある「アレルゲン免疫療法」があります。

アレルゲン免疫療法は、現在「ダニアレルギーによるアレルギー性鼻炎」および「スギ花粉症」で行われて、当院では舌下(ぜっか)によるアレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)を行っています。

「舌下免疫療法」は、1日1回、薬剤を舌の裏に1~2分ほど置いてから飲み込むことを3~5年程度続け、少しずつ体をアレルギーに慣らす治療法です。 自宅で治療を行え、副作用も注射による免疫療法より少なく済み、2018年からはお子さんも保険診療で治療可能となりました。

ダニアレルギーやスギ花粉アレルギーによるつらい鼻炎症状でお悩みの方、薬で症状が抑えられない方、舌下免疫療法にご興味をお持ちの方は、お気軽に当院までご相談ください。

アレルゲン免疫療法について

アレルゲン免疫療法は、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を毎日少しずつ体内に取り込みます。
約3~5年間続けることで、アレルゲンに反応しない体質に改善させる可能性がある治療法です。

アレルゲン免疫療法の歴史は古く、日本では1960年代より注射によってアレルゲンを取り込む「皮下免疫療法」が行われておりました。
皮下免疫療法には、「通院回数が多い」「注射の痛みがある」「注射部位に腫れやかゆみが現れることがある」といったデメリットがありますが、そのようなデメリットが少ない「舌下免疫療法」が保険適応になったことをきっかけに、注目を集めています。

現在アレルゲン免疫療法は、皮下免疫療法・舌下免疫療法ともに、ダニアレルギーやスギ花粉アレルギーのみ有効です。

舌下免疫療法について

舌下とは「舌の裏」のことで、舌下免疫療法ではダニ抽出エキスまたはスギ花粉エキスが入った錠剤・液体を舌の裏に1~2分ほど置いてから飲み込みます。
舌の裏にある毛細血管から薬剤を吸収することで、すぐに飲み込むよりも多くの有効成分が体内に入ります。
苦みのないお薬なので、お子さんでも服用できます。

また、副作用を避けるため、治療薬を飲み込んだ後も5分程度はうがい・飲食を避け、治療前後2時間は激しい運動・入浴など血流や血圧の変動があるような行動を避けるよう注意が必要です。

舌下免疫療法に向いている人
  • 症状が強く、日常生活に支障がある方
  • 薬では、症状を抑えることができない方
  • 薬を止めると、症状が悪化する方
  • 薬の量を少しでも減らしたい方
  • 将来にわたって、アレルギー性鼻炎の症状に悩むのが心配な方
  • 薬を飲むと、眠気など副作用が出やすく、仕事や学業などに影響が出て困る方
  • 事情があってお薬が飲めない方
  • 直近3~5年間での妊娠計画はないが、将来妊娠した時に服用している薬が飲めなくなることが不安な方
  • 長期間の服用を続けられる方

ダニアレルギーの舌下免疫療法

ダニアレルギーの舌下免疫療法の実施時期

ダニアレルギーによる舌下免疫療法は、1年中いつでも始めることができます。 当院では、まず血液検査を行い、ダニアレルギーであるかが確認してから治療開始となります。

ダニアレルギーの舌下免疫療法で使われる治療薬

ダニアレルギーの舌下免疫療法には、「アシテア」と「ミティキュア」の2種類の錠剤が承認されています。当院では、「ミティキュア」を使用します。

  • アシテア
     導入期・維持期で服用量が異なる、舌下保持時間(置いておく時間)は2分程度
  • ミティキュア
     導入期・維持期で服用量は一定、舌下保持時間は1分程度

スギ花粉アレルギーの舌下免疫療法

スギ花粉アレルギーの舌下免疫療法の実施時期

身体が過敏に反応しやすくなっているため、花粉症シーズン直前・最中(1月~5月頃)は免疫療法を開始できません。花粉症のオフシーズンである6月~12月の間で開始できます。
当院では、まず血液検査を行い、スギ花粉アレルギーであるか、確認してから治療開始となります。

スギ花粉アレルギーの舌下免疫療法で使われる治療薬

スギ花粉アレルギーの舌下免疫療法には、「シダトレン」と「シダキュア」の2種類の薬剤が承認されています。当院ではシダキュアを使用します。

  • シダトレン
     液剤、12歳未満は服用不可、冷蔵庫保存が必要、舌下保持時間は2分程度、導入期・維持期で服用濃度や量に違いがある
  • シダキュア
     唾液で溶ける錠剤、12歳以下でも服用可、常温保存可、舌下保持時間は1分程度、導入期・維持期とも服用量が一定

舌下免疫療法の検査・治療の流れ

① 問診と視診

自覚症状以外にも、アレルギー性疾患の有無、家族のアレルギー歴などについて詳しくお伺いします。
顕微鏡で鼻水を調べたり、鼻の粘膜の色や鼻水の性状、目の状態の観察を行ったりします。

② 血液検査または皮膚反応検査

舌下免疫療法を行うには、自覚症状のほか、血液検査によるダニアレルギーまたはスギ花粉アレルギーの確定診断が必要となります。
血液検査では、アレルゲンに対して反応する抗体「特異IgE抗体」の量を測定します。検査結果は約1週間後に出ます。なお、過去2年以内に他院で血液検査をして、検査結果をお持ちいただける方は、上記の検査は不要となります。

③ 初回投与(病院で服用)

血液検査で、ダニアレルギーまたはスギ花粉アレルギーが確認され、舌下免疫療法の適応がある場合には、治療を開始します。

初回のみ、院内で医師の確認のもと1回分を服用します。
これは、重大な副作用が出ないかを確認させていただくためですので、服用後約30分、病院内でお待ちください。
※初回は服用後の待機時間も含め、1時間程度かかることをご承知おきください。

④ 2回目以降の投与(自宅で服用)

2回目以降は、原則ご自宅にて1日1回分服用いただきます。
副作用があった際に対処できるよう、できるだけ昼間や家族など人がいる場所で服用するようにしてください。

⑤ 定期通院(2週間毎~1か月毎)

当院では治療開始時に2週間分(開始量1週間、維持量1週間)をお渡しし、院内投与で問題がなければ初回は2週間後、その際の診察が問題なければ1か月後の受診としております。
服用量が一定となる維持期に入り、治療が落ち着いてきたら、1か月毎の通院となります。

よくある質問

1) 舌下免疫療法は、子どもや高齢者でも行えますか?

舌下免疫療法自体は、特に年齢制限なく、お子さんでも治療いただけます。
しかし、事前の採血によるアレルギー検査が必要ということや舌の裏にしばらく薬を置いてから飲み込む、治療前後2時間程度は激しい運動を避けるなど、気を付けたい点もあるため、6歳以上が適応となります。ただし、お子さんによって、可能と思われれば、小学校入学前からでも治療を行っております。

また、65歳以上の高齢者についても適応外ではありませんが、免疫療法が有効となる方の割合が少し減ってしまうという調査結果が報告されています。 まずはご相談ください。

2) 舌下免疫療法の適応とならない人は、どのような人ですか?

重い心臓病の方、薬でコントロールされていない気管支喘息の方、がん治療中の方、妊娠中・授乳中の方、近年中に妊娠を予定している方は、原則お受けいただけません。
また、ステロイドの内服薬を常用されている方は、免疫療法の効果を下げる可能性があるので、治療をすることができません。 なお、気管支喘息の方でも、薬で発作をコントロールして喘息症状が出ていない場合や、高血圧の治療でβ遮断薬を服用されている方もお薬を変更すれば治療可能です。

3)治療効果はすぐに出ますか?また、効果はどのくらい続きますか?

舌下免疫療法はすぐに効果が出る治療ではなく、過剰に反応するアレルギー体質を少しずつ反応しづらい体質に変えていく治療です。
日本アレルギー学会では、最低2年以上、3~5年の治療を推奨しています。
「年単位」でコツコツ続けていくことにより効果が期待できますが、治療効果には個人差があります。

日本アレルギー学会によると、舌下免疫療法のダニアレルギーに対する有効率は70%前後、スギ花粉アレルギーには70~80%と高めですが、中には無効例も存在すると報告されています。

(参考)ダニアレルギーにおけるアレルゲン免疫療法の手引き(改訂版)P.19|日本アレルギー学会
https://www.jsaweb.jp/uploads/files/180618dani.pdf

スギ花粉症におけるアレルゲン免疫療法の手引き(改訂版)P.11|日本アレルギー学会
https://www.jsaweb.jp/uploads/files/sugi_tebiki16_honmon.pdf

正しく治療を行えば、アレルギー症状が改善し、治療終了後も長期間(7~8年程度)に渡って薬の量を減らせる、もしくは薬を服用しなくても症状を抑えられる効果ができます。

4)舌下免疫療法の副作用はありますか?

アレルギーをお持ちの方がアレルゲンを服用するので、アナフィラキシーショックが起こる可能性もゼロではありませんが、日本よりも以前から治療が行われていた海外においても、重篤な副作用は極めて稀です。 副作用は、治療開始から1か月後くらいまでの間に出やすく、薬剤を口の中に投与するので、口の中のかゆみ・イガイガするような違和感・腫れなど口に関する副作用が多くなっています。 また、くしゃみ・鼻水・鼻づまりといった鼻炎症状が一時的にひどくなることもあるので、その際には、抗ヒスタミン薬などを併用します。 とはいえ、ほとんど短時間で落ち着き、1週間も経てば出にくくなります。

院長からのひとこと

舌下免疫治療を開始した後、維持期に入って安定した方は、舌下免疫療法の専用予約枠として、1か月先~30分前まで時間予約が可能となっています。ご自身の予定に合わせて通院を継続しやすいように、そしてなるべくお待たせしないように、時間予約を採用しております。是非一度ご検討下さい。

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