副鼻腔炎(急性・慢性)|海老名こじろう耳鼻咽喉科|海老名駅近くの耳鼻科

鼻の病気

副鼻腔炎(急性・慢性)

副鼻腔炎(急性・慢性)

副鼻腔(ふくびくう)とは、鼻の奥からつながっている頬やおでこ部分の骨に広がる空洞のことで、左右対称に4つずつ、計8つあります。

「副鼻腔炎」は、「蓄膿症(ちくのうしょう)」とも呼ばれ、粘りのある濁った鼻水や鼻づまりなどの症状が現れたり、副鼻腔に膿が溜まることで、頭痛や顔(おでこや頬)の痛み、歯の痛み、においがしないといった症状を伴ったりすることがあります。

副鼻腔炎の主な原因は、風邪などの細菌・ウイルス感染であり、副鼻腔のどこかに炎症が起きることで発症しますが、急性期の場合、風邪による鼻炎症状とよく似ているため、発症に気付かないケースも少なくありません。
副鼻腔炎は、きちんと治療をすれば完治できる病気ですが、炎症が長引いて慢性化すると、その分治療にも時間を要することになります。

鼻の症状で気になることがある場合や風邪が治った後も鼻がすっきりしない場合には、お早めにご来院ください。

副鼻腔炎の症状と種類

鼻の中は、鼻の穴から喉まで繋ぐ空洞の「鼻腔(びくう)」とその周りにある顔や頭の骨の中にある左右4つずつの空洞「副鼻腔(ふくびくう)」で構成されています。
副鼻腔は、外から入ってきた異物を分泌物に絡めて、鼻腔の方へ排出する働きを持っています。

(参考)副鼻腔の名称と位置

副鼻腔炎の主な症状

・濁った粘性の鼻水(白色~黄色)
さらっとして無色透明の鼻水でも、炎症が進行すると、膿を含んだ粘りがある黄色く濁った鼻水が出たり、悪臭がしたりする場合もある。

・鼻づまり
粘膜が腫れることで、鼻づまりが起こる。

ほかにも、次のような症状を伴うことがあります。
・嗅覚障害(においが分からない)
・頭または顔の一部(頬や目の奥、鼻の周り、おでこなど)、歯に痛みがある
・鼻水が喉に落ち、むせて咳や痰が出る(後鼻漏:こうびろう)
・発熱

副鼻腔炎の種類

・急性副鼻腔炎
鼻腔がウイルスや細菌に感染し、鼻腔内に炎症が起きると、鼻粘膜が腫れ、鼻腔と副鼻腔をつなぐ細い道(自然口)を塞いでしまいます。
塞がれると、副鼻腔内で細菌が増殖し炎症が強くなるため、鼻づまり・鼻水などの症状が急に現れたり、副鼻腔に溜まった膿で顔が腫れて頬や目の奥などに痛みや圧迫感が出たりします。1か月くらいで自然に軽快していきます。

・慢性副鼻腔炎
急性副鼻腔炎が長引いて、症状が3か月以上続いている場合をさします。
症状は急性期よりも軽いことが多いです。炎症が長期化することで、「膿を排出する粘膜の働きが弱くなる→粘膜そのものが腫れる→炎症が治りにくくなる」という悪循環に陥ります。副鼻腔に膿が溜まってくることから、「蓄膿症」とも呼ばれます。
ひどくなると、腫れた粘膜がポリープ(鼻茸)になることがあります。

副鼻腔炎の原因とは?

副鼻腔炎は、鼻腔(粘膜)が炎症し、副鼻腔とつながっている穴(自然口)を塞いでしまうことにより、副鼻腔からの分泌液や膿などの排出ができず、次第に溜まってしまう病気です。
副鼻腔炎の原因には、次のようなものがあります。

風邪(ウイルス・細菌感染)

急性副鼻腔炎の原因で一番多いのが、風邪です。
風邪の原因菌は、一般的にライノウイルス、RSウイルス、インフルエンザウイルスなどのウイルスです。発熱などで体力が低下している場合、さらに別の細菌(インフルエンザ菌、肺炎球菌など)に二次感染し、細菌性の副鼻腔炎を発症することもあります。

アレルギー性鼻炎

花粉やダニ(ハウスダスト)などのアレルギーを持っていて、慢性的な鼻炎症状がある方も日常的に鼻粘膜が腫れやすく、自然口(鼻腔と副鼻腔をつなぐ穴)が詰まり気味になっていることが多いため、副鼻腔炎の発症リスクが高まります。

むし歯や歯周病などの歯の炎症

鼻以外にも、歯の根元の炎症が原因となる場合もあります。
副鼻腔の「上顎洞」と上あごはつながっているため、上の奥歯のむし歯や歯周病を放置したままにしていると、上顎洞に細菌が繁殖し、副鼻腔炎を発症する場合があります。
※下あごは副鼻腔とはつながっていないため、副鼻腔炎を発症することはありません。

歯科では、副鼻腔炎とは言わず、「歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)」という病名で呼ばれています。

副鼻腔炎の検査と診断法

副鼻腔炎の疑いがある場合、医師による症状の聞き取り(診察)のほか、必要に応じて以下のような検査を行い、診断を行います。

① 問診・視診

自覚症状について、詳しくお伺いします。
また、鼻鏡(びきょう)や先端にカメラが付いた細い内視鏡(ファイバースコープ)で、鼻腔の奥まで観察して、鼻内部の形状や炎症具合、ポリープ(鼻茸)があるかなど確認します。

② 細菌検査

細菌による発症が疑われる場合に行います。
鼻やのどの奥の鼻水・膿を採取して調べます。
原因となる細菌を特定することができれば、効果的な薬を選ぶことが可能です。

副鼻腔炎の治療とは?

副鼻腔炎の治療は、急性・慢性共に「局所療法」「薬物療法」が基本となります。
患者さんの症状に合わせ、“薬の内服“と直接鼻に処置を行う“局所療法”を組み合わせて、治療を行います。
特に慢性副鼻腔炎の場合、治療期間が数か月と時間がかかりますが、根気よく治療することが大切です。

薬物療法

  • 去痰剤(きょたんざい)……粘りのある鼻水をサラサラにして、鼻水や痰を出やすくする。
  • 消炎酵素薬……粘膜の炎症を抑え、粘性な分泌物や痰を溶かして排出しやすくする。
  • 抗生物質……急性期では細菌増殖を抑え、慢性期では炎症に関係する免疫や細胞機能を抑えて、鼻粘膜の炎症状態を改善する。
  • 解熱鎮痛剤……発熱や顔の痛みなどを抑える。
  • 抗アレルギー薬……アレルギー性鼻炎を併発している時、症状を抑えるために処方する。

なお、抗生物質は、急性期には通常の薬剤量を短期間(1~2週間)投与し、慢性期には“マクロライド療法”として、通常使用の半分の薬剤量を長期間(3~6か月)投与します。
また、ウイルスが原因の場合や症状が軽い場合には、抗生物質は使用しないこともあります。

局所療法

  • 鼻汁吸引……吸引器で詰まった鼻水や膿を吸引し、鼻の通りを良くする。
  • ネブライザー……鼻汁吸引を行った後、少量のステロイドや抗生物質などの薬をミスト状にして鼻から吸い込む。鼻粘膜に直接薬剤が届くので、副作用が少ないメリットがある。

【鼻吸い・ネブライザーチケットについて】
お子様は鼻をかむのがまだ難しかったり、大人が吸引してあげようにもどのような機器がいいのか悩んだり、子供が暴れたりで子供の鼻水吸引がうまくできない方も多くいらっしゃると思います。
当院では、鼻吸い、ネブライザーをお待たせせず処置ができる「鼻吸い・ネブライザーチケット」をお渡ししております。(診察時、医師が必要と判断した場合)
受付にチケットをお見せいただければすぐにご案内させていただきます。処置のみでチケットをお持ちの方は予約不要です。

手術療法

再発を繰り返す、鼻茸(ポリープ)ができるなど重症化して薬物療法だけでは効果が認められない「慢性副鼻腔炎」の場合には、内視鏡手術を検討します。

副鼻腔の入り口を広げ、炎症で腫れている粘膜や鼻茸を取り除きます。
ただし、お子さんの場合には手術による弊害の方が多いため、できるだけ薬物療法や局所療法で治療を行います。

手術が必要となる場合には、近隣の病院に紹介をしております。
(聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院、東海大学病院、北里大学病院、厚木市立病院、等)

よくあるご質問

1)副鼻腔炎になりやすい人は、どんな人ですか?

アレルギー性鼻炎やぜんそくを持っている人は、副鼻腔炎になりやすいという調査結果があります。
その背景には、生活習慣の変化によってアレルギー体質の方が増えていることやアレルギー体質の人は鼻粘膜が腫れやすく、そのために自然口(鼻腔と副鼻腔をつなぐ穴)も塞がりがちとなり、副鼻腔に溜まった分泌物や膿が排出されにくいという理由が挙げられています。スギ、ハウスダスト、ダニアレルギーは減感作療法(舌下免疫療法)により治療をすることができます。詳しくは「舌下免疫療法」をご覧ください。
WP投入時に↑「舌下免疫療法」から当該記事へリンクする

2)つらい鼻づまりに市販の点鼻薬を使ってもいいですか?

市販の点鼻薬は、長期的に使い続けるのではなく、“一時使用”に留めた方が良いでしょう。

市販の点鼻薬の多くは血管収縮剤が含まれており、即効性はありますが、繰り返し使っているうちに効果が薄くなったり、むしろ鼻の粘膜が腫れるなど症状が悪化したりすることもあります。(点鼻性鼻炎)
慢性化すると治りにくくなるので、早い段階できちんと治療することをおすすめします。

3)副鼻腔炎で注意したい合併症はありますか?

小さなお子さんに多い合併症は「中耳炎」です。
鼻と耳は、耳管(じかん)という管でつながっていて、耳管の発達が未熟なお子さんの場合、副鼻腔の原因菌が中耳に入り込みやすいので、注意が必要です。

また、ごく稀ですが、死に至る危険な合併症もあります。
副鼻腔は目や脳に近いところにあるため、物が二重に見えるなどの視力障害や意識障害・麻痺を起こす髄膜炎など、副鼻腔の炎症が目や脳に及ぶこともあります。
長引く症状は我慢せず、「鼻症状がなかなか治らないな」と思ったら、耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。

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