慢性中耳炎|海老名こじろう耳鼻咽喉科|海老名駅近くの耳鼻科

耳の病気

慢性中耳炎

慢性中耳炎

急性中耳炎を繰り返し、中耳内の炎症が慢性化してしまった状態を「慢性中耳炎」と言います。

長引く炎症で、鼓膜に穴(穿孔:せんこう)が開いてしまう「慢性化膿性中耳炎」は、鼓膜の奧(中耳)が外気にさらされ、断続的な耳だれや難聴を伴うのが特徴です。

また、慢性中耳炎には、真珠のように白っぽいできもの(真珠腫)ができる「真珠腫性中耳炎(しんじゅしゅせいちゅうじえん)」という特殊な中耳炎もあります。真珠腫が細菌に感染すると特殊な酵素を産生し、周囲の骨を破壊しながら進行するため、より症状が重くなるのが特徴です。

慢性中耳炎の場合、薬や耳の処置で炎症を抑えることも可能ですが、風邪などで再び感染を起こすと症状が再発するため、根本的な治療には手術が必要になります。

慢性中耳炎の症状は?

「痛くない大人の中耳炎」とも言われる慢性中耳炎は、急性中耳炎のような強い痛み(耳痛)や発熱はなく、耳だれなどの症状が断続的に続くのが特徴です。慢性化膿性中耳炎と真珠性中耳炎で発症する症状には特徴があり、経過もそれぞれ異なります。

慢性化膿性中耳炎のおもな症状


・耳だれ
耳から出る膿で、「耳漏(じろう)」とも呼ばれます。症状には個人差があり、断続的にずっと出続ける人もいれば、ほとんど感じない人までさまざまで、悪臭を伴うケースもあります。
鼓膜に穴が開いたままの状態なので、風邪を引いた時や耳に水が入った時などに細菌感染を起こすと症状が悪化するのが特徴です。

・難聴(聞こえの低下)
鼓膜に穴ができるため、音が聞き取りにくくなります。初期は聞こえにくい程度ですが、炎症が内耳にまで及ぶと、音を伝える神経の働きが弱くなる「感音難聴(かんおんなんちょう)になり、めまいを伴うこともあります。

・耳鳴り、耳閉感(じへいかん)
耳鳴りや耳が詰まったような感じがする「耳閉感」を伴うこともあります。

真珠腫性中耳炎のおもな症状

・耳だれ
真珠腫が細菌に感染してしまうと、耳の痛みや耳だれが出て、悪臭を伴う場合もあります。

・難聴(聞こえの低下)
真珠腫により、中耳にある耳小骨(じしょうこつ:音を内耳に伝える小さな骨)が破壊されてしまうと、聞こえが低下します。さらに、内耳の中にある三半規管や蝸牛(かぎゅう)という部分にまで影響が及ぶと、感音難聴になってめまいを伴うこともあります。

・顔面神経痛、顔のゆがみ
真珠腫が耳の中を通っている「顔面神経」にまで及ぶと、顔面の神経が麻痺し、顔のゆがみや痛みが起こります。

・激しい頭痛
真珠腫の炎症が頭部に及んでしまうと、髄膜炎(ずいまくえん)1や脳膿瘍(のうのうよう)2などの深刻な状態を引き起こし、命に関わる場合もあります。

髄膜炎1……細菌感染により、血液を通して脳や脊髄を覆う「髄膜」に炎症を起こす

脳膿瘍2……細菌感染により、炎症が起きて脳に膿が溜まってしまう

(画像引用)一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
http://www.jibika.or.jp/citizens/daihyouteki/jika.html

慢性中耳炎の原因と発症のメカニズム

中耳の炎症が慢性化してしまうことで起きる慢性副鼻腔炎ですが、慢性化膿性中耳炎と真珠腫性中耳炎では、発症のメカニズムに違いがあります。

慢性化膿性中耳炎の原因


小さい頃にかかった急性中耳炎や滲出性中耳炎(鼓膜の奥に水が溜まる)が完全に治りきらず、何度も再発を繰り返しているうちに鼓膜に穴が開き、塞がらなくなります。(永久穿孔:えいきゅうせんこう)また、耳のケガなどで鼓膜が破れた時に、発症するケースもあります。

真珠腫性中耳炎の原因

急性中耳炎や滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)*3を繰り返し、中耳内の換気が上手くできない状態が続くと、鼓膜の一部が陥凹し、その部分に耳垢が溜まります。固まった耳垢(真珠腫)に感染が起こると、周囲の骨を溶かす酵素を出すようになり、耳小骨や内耳などの耳の骨組織が破壊されます。

滲出性中耳炎*3……子供に多い中耳炎で、鼓膜の奥に水が溜まり、耳鳴りや難聴、耳閉感を伴う

慢性中耳炎の検査、診断法

当院では、慢性中耳炎の診断のため、以下のような検査を行います。

・問診
耳だれや聞こえの状態、いつから症状が出たかなどを患者さんから詳しく伺います。

・視診
内視鏡カメラを使用し、鼓膜の状態を細かく確認します。

≪内視鏡検査を行うメリットは?≫

内視鏡カメラによる鼓膜検査は、小さなお子さんにも行うことができ、肉眼では見られない死角部分まで細かく確認することができるので、正確な診断には欠かせないものです。
また、検査の画像は保存できるので、これまでの症状の経過を簡単に比較することも可能です。
当院で使用している内視鏡カメラは、鼓膜の状態をリアルタイムで見ることができるので、患者さんご自身の目で確認していただけるのも大きなメリットです。

・聴力検査
聞こえが低下していないかを確認するための検査です。


・細菌検査
採取した耳だれから、感染を引き起こしている細菌を特定する検査です。
※細菌検査は必須でしょうか?

・CT検査、MRI検査
真珠腫性中耳炎が疑われる場合には、より詳細の状態を調べる必要があるため、近隣の病院でCTやMRIなどの画像検査を受けていただく場合があります。

慢性中耳炎の治療について

慢性中耳炎は、症状が落ち着いていると思って放置していると、徐々に進行してしまう場合があります。慢性化膿性中耳炎と真珠性中耳炎で治療法も異なるため、医師の指示に従い、適切な治療を行うことが大切です。

慢性化膿性中耳炎の治療

耳だれなど化膿性の炎症が起きている場合、まず薬で症状を抑えることが先決ですが、完治には手術による治療が必要です。

①炎症による症状を抑えるための治療
・内服薬、点耳薬……細菌感染によって悪化した症状を抑えるため、抗菌剤の内服または点耳薬(耳にたらす薬)で細菌を殺し、炎症を抑えます。
・耳の清浄、清掃……薬剤を使って耳の洗浄を行います。

※ただし、薬物療法を行っても、鼓膜に開いたの穴が塞がるわけではありません。
風邪をひいた時や、お風呂や水泳などで中耳に水が入ってしまうと、再び細菌に感染して再発する危険があるため注意が必要です。

②根治治療(外科手術)
・「鼓膜形成術」……鼓膜に開いた穴を塞いで張り替える手術です。手術後の鼓膜閉鎖率は90%以上にのぼり、伝音難聴であれば聴力が改善する可能性も期待できます。
・「鼓室形成術」……音を伝えるしくみを再建する手術です。耳小骨(じしょうこつ:外から音として鼓膜に伝わった振動を内耳に伝える働き)が破壊されて難聴が進んでいる場合、耳小骨を形成する手術を行います。

真珠腫性中耳炎の治療

ごく初期であれば、外来で角化物(塊)を取り除く場合もありますが、真珠腫性中耳炎の場合、原則、手術による治療を行います。
手術は、通常、真珠腫の摘出手術と、聴力を回復するための「鼓室形成術」をセットで行います。顔面神経麻痺や感音難聴、めまいなどの神経障害が出てしまうと、真珠腫を摘出しても改善しない可能性が高いので、これらの症状が出る前に手術を行うことが重要です。
また、術後も再発の可能性があるため、定期的に通院して検査を受けるようにしましょう。

よくあるご質問

1)慢性中耳炎になりやすい人は?


子供の頃にかかった中耳炎が完治しなかった方に発症しやすく、急性中耳炎を繰り返しているうちに慢性中耳炎に移行し、高度の難聴になってしまったケースもあります。また、鼓膜に液体が溜まる滲出性中耳炎は痛みがないため、放置しているうちに鼓膜に穴が開いてしまうケースもあるので注意が必要です。

2)子供がたびたび中耳炎になりますが、将来、「慢性中耳炎」になりますか?

小さなお子さんは、鼻と耳をつなぐ「耳管(じかん)」が短く、鼻と耳がほぼ水平に位置しています。そのため、細菌が入り込んで中耳炎を起こしやすいのですが、毎回、適切な治療で完治させていれば基本的に慢性化する心配はありません。
ただし、治ったと思いこみ、自己判断で治療を中断してしまうと、症状が徐々に進行し、慢性中耳炎に移行してしまう可能性があるので、治療は主治医の指示に従い、完治するまで根気よく続けることが大切です。

3)鼓膜に穴が開いていますが、水泳をしても良いですか?

水泳は可能ですが、プールに入る時は、耳栓の使用をおすすめします。特に、お子さんの場合や大人でも深く潜る可能性がある場合には必ず耳栓をするようにしましょう。
また、プールに比べると、海や湖は感染を起こす確率が高いので注意が必要です。
泳いだ後、耳に痛みや耳だれが出るような場合も耳栓を使用したほうが良いでしょう。

4)鼓膜を塞ぐ手術は必ず必要ですか?手術を行うタイミングはいつが良いですか?


感染を繰り返すたびに炎症が悪化するだけでなく、難聴も徐々に進んでしまう危険があるため、基本的には手術で穴を塞いだほうが良いでしょう。
特に、両耳に穴が開いて聴力が低下しているような場合は、早めに手術をする必要があります。
ただし、年齢や症状によっては、鼓膜を塞ぐと滲出性中耳炎を再発してしまう場合もあるため、手術を行う時期は、年齢や経過、難聴の程度、耳だれの頻度などを考慮し、主治医の先生と相談して決めるようにしましょう。

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