耳鳴り|海老名こじろう耳鼻咽喉科|海老名駅近くの耳鼻科

耳の病気

耳鳴り

耳鳴り

実際には何も音がしていないにもかかわらず、自分の耳や頭の中で雑音が聞こえる状態を「耳鳴り」と言います。
急な気圧の変化などで感じる一時的な耳鳴りは誰にでも起こることがあり、特に心配することはありませんが、症状が長引き、日常生活に支障をきたすような場合には治療が必要となります。

耳鳴りは、加齢や騒音、筋肉のけいれん、病気などさまざまな原因で起こることがあり、ストレスや疲労、睡眠不足をきっかけに発症するケースもあります。

音がずっと持続する場合もあれば、消えたかと思うとまたぶり返す場合もあるなど、患者さんによって自覚症状はそれぞれ異なりますが、そのつらさは周囲からは分かりにくいこともあり、患者さんにとって非常に大きなストレスになります。

耳鳴りの改善には、詳しい検査で症状の原因を突き止め、適切な治療を行うことが大切です。
耳鳴りや耳の違和感など、気になる症状がある時は、ぜひ当院までご相談ください。

耳鳴り音のタイプから考えられる病気

耳鳴りにはいくつかのタイプがあり、発症原因によって音にも特徴があります。(※但し、症状には個人差があります)

1)高音の耳鳴り(例:「キーン」「ピー」)

金属音や電子音のような擬音で表現されることが多く、耳を塞ぐと音が大きくなるのが特徴です。

・突発性難聴
ある日、突然、片方の耳が聞こえなくなり、耳鳴りやめまいを伴います。
詳しい発症のメカニズムは不明ですが、ストレスが関係して発症すると考えられています。
治療が遅れると、元の聴力が戻りにくくなるため、左右どちらかの耳の聞こえが悪くなった場合は、至急(遅くても症状が現れてから1~2週間以内)、耳鼻咽喉科を受診する必要があります。

・メニエール病
突然、ぐるぐる回るような回転性のめまいが起こり、吐き気や嘔吐を伴う病気で、めまいの前後には左右どちらかの耳に耳鳴りや難聴、耳の詰まり感も伴います。
20~50代の女性に多く見られ、通常、一回のめまいは数分~数時間で治まることが多いですが、何度も症状を繰り返すのが特徴です。
内耳の中にある液体量が過剰になることが原因(内リンパ水腫)と考えられていますが、なぜ液体が過剰になるのか詳しいメカニズムは分かっていません。

・聴神経腫瘍(ちょうしんけいしゅよう)
神経を包む細胞にできる良性の脳腫瘍です。発症初期から片方の耳に難聴や耳鳴り、ふわふわとした浮遊性のめまいが現れ、時間と共に少しずつ大きくなることがあります。
サイズが小さく、進行が見られないものは経過観察になる場合もありますが、サイズが大きいものや進行性のものは治療が必要となります。

・老人性難聴
加齢が原因で聞こえが低下する難聴で、両耳の耳鳴りを伴うことがあります。
50~60代からの発症が多いですが、中には40代で発症するケースもみられます。
耳の内耳にある「蝸牛(かぎゅう)」という部分の「有毛細胞(音を感じる細胞)」が老化し、壊れてしまうことが原因で発症します。

・音響外傷
大音量の音で蝸牛の有毛細胞が障害され、聞こえが低下する難聴で、両耳の耳鳴りや耳の痛みを伴います。コンサート会場のような大音響だけでなく、ヘッドホンやイヤホンを使って長時間大きな音を聞くことで発症する場合もあります。
軽症であれば一時的な症状で回復しますが、翌日以降も耳鳴りが続く場合や、耳の痛みを伴う場合には治療が必要になります。

薬剤性難聴
アスピリンなど特定の薬の副作用で耳の聞こえが低下し、耳鳴りやふわふわとした浮動性のめまいなどを伴います。服用開始後、早い時期に両耳に症状が出るのが特徴です。

・自律神経失調症
ストレスや疲労、睡眠不足などが続き、自律神経の働きが乱れることで、「キーン」「ピー」などの耳鳴りが起こる場合があります。
一時的なもので、症状がすぐに治まれば心配ありませんが、耳鳴りの症状がストレスになり、つらい場合には治療をおすすめします。

2)重低音の耳鳴り(例:「ブーン」「ボー」「ゴォー」「ザー」)

耳が詰まったような感覚(耳閉感:じへいかん)を伴い、耳を塞ぐと音が小さくなるのが特徴です。エアコンの風、ボイラー音のような重低音の擬音で表現されます。

・メニエール病
回転性のめまいや難聴のほか、患者さんによっては高温ではなく「ブーン」「ザー」というような低い音の耳鳴りが起きることがあります。

・低音障害型感音難聴
低い音だけが聞こえにくくなる難聴で、低音の耳鳴りを伴います。メニエール病と同じく、20~40代の若い女性に多く発症しますが、めまい症状がないのが特徴です。突発性難聴に比べると症状が軽く、聴力が回復しやすい傾向がありますが、一度完治しても、ストレスや疲労などにより、繰り返し起こることがあります。

・中耳炎・耳管狭窄症(じかんきょうさくしょう)など
風邪などをきっかけに中耳や耳管など耳内の器官に異常が起こる「滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)」や「耳管狭窄症」を発症すると、低い音の耳鳴りが起こることがあります。

肩・首の凝り、疲労・ストレス
肩や首の凝り、疲労、精神的なストレスなどにより、低い音の耳鳴りが起こる場合があります。

・急な気圧の変化
天候の変化で気圧が急に低下した時などに、低い音の耳鳴りが起こることがあります。

3)不定期に聞こえる耳鳴り(例:「ブクブク」「ポコポコ」「グググ」「コツコツ」など)

・耳の周りの筋肉のけいれん
耳の周りや耳小骨(じしょうこつ)の筋肉がけいれんすることで音が発生し、耳鳴りが聞こえることがあります。

4)乾いた音の耳鳴り(例:「ガサガサ」「ゴソゴソ」)

・耳垢が溜まっている時
・耳に虫が入った場合
耳の奥にある耳垢や、虫が耳に入った場合などに、ガサガサというような耳鳴りが聞こえることがあります。

5)持続する拍動性の耳鳴り(例:「シャー」「ジョー」「ドクドク」「ドコドコ」など)

・脳梗塞・脳出血の前兆
・脳腫瘍による血管の圧迫

脳と繋がっている血管に異常が起きている可能性があります。特に、「ドクドク」というような心臓の音と一緒に聞こえる拍動性(はくどうせい)の耳鳴りは重大な疾患の可能性もあるため、脳神経外科などで精密検査(MRI検査など)を受ける必要があります。

耳鳴りの検査

耳鳴りの多くは、自分にしか聞こえない「自覚的耳鳴(じかくてきじめい)」と言われるものであり、実際の症状は患者さんご本人にしか分かりません。
また、耳鳴りの感じ方には個人差もあることから、耳鳴りの検査は、問診表を使った症状の聞き取りのほか、聴力検査、耳鳴検査、画像検査などを行い、それらの結果から総合的に診断を行います。

聴力検査

耳の聞こえ具合を調べるほか、鼓膜の検査(ティンパノメトリー)、耳の奥の筋肉の動きを見る検査(耳小骨筋反射、アブミ骨筋反射)などを行います。

耳鳴検査(じめいけんさ)

聴力検査機器(オージオメータ)を用いて、患者さんの耳鳴りの音に近い高さや強さ、音の種類などを調べます。

MRI検査・MRA検査

拍動性の耳鳴りの場合や、聴神経腫瘍などが疑われる場合には、脳の状態を調べるため、近隣の病院にてMRI(脳の断面図)やMRA(脳血管を立体画像化する検査)などの画像検査を受けていただく場合があります。

※上記以外にも患者さんの状態に応じて「血液検査」や「平衡機能検査(めまいがある場合)」を行う場合もあります。

耳鳴りの治療法

残念ながら、現時点では耳鳴りを抑える特効薬はありません。
耳鳴りの発症には、さまざまな要因が絡んでおり、原因が突き止められる場合には、元となる病気の治療を行うことで、耳鳴りの改善も期待できます。
治療は薬物療法が中心ですが、聴神経腫瘍や滲出性中耳炎など病気によっては外科手術が必要になる場合もあります。

また、原因不明の耳鳴りは、薬物療法では完全に症状がなくならない場合があるため、最近は、つらい症状を緩和し、耳鳴りが気にならないようにする新しい治療法も行っています。

薬物療法

原因と考えられる病気を治療するための薬物を処方します。
(ステロイド製剤・血管拡張剤、内耳の循環改善剤、ビタミン剤、抗不安剤、抗うつ薬、抗けいれん薬、漢方薬など)

・突発性難聴や音響性難聴 →ステロイド製剤・血管拡張剤、内耳の循環改善剤、ビタミンB12など(※早期治療が重要)
・メニエール病→抗不安薬・利尿剤・ビタミン剤など

音響療法

耳鳴りと似た音、もしくは自然の音(波の音や小川のせせらぎなど)を聞くことで意識を分散させ、耳鳴りに対する意識をそらして慣らしていく治療法です。

カウンセリング

耳鳴りになったことがストレスとなってしまい、より症状の悪化を招く場合があるため、カウンセリングでじっくりお話を伺い、患者さんの不安や苦痛を和らげます。
また、耳鳴りのメカニズムなどを医師が詳しく説明し、患者さんに正しく理解してもらう「指示的カウンセリング」で、ストレスが症状を悪化させる悪循環を防ぐ(断ち切る)効果も期待できます。

TRT療法(耳鳴順応療法:Tinnitus Retraining Therapy)

「音響療法」と「指示的カウンセリング」を組み合わせて行う治療法です。
耳鳴りを完全に消失させるのではなく、耳鳴りの正しい知識を持つとともに、いろいろな音を聞くことで、耳鳴りへの意識をそらし、少しずつ慣れていくことが治療の目的です。
基本的には、6か月以上耳鳴りに悩まされている慢性の方もしくは耳鳴りによる生活障害度の高
い方が対象で、治療には数か月から数年が必要です。

認知行動療法

慢性化した耳鳴りで大きなストレスや苦痛を感じている患者さんは、「耳鳴りのせいで、自分のいる世界は苦しくてつらい」とネガティブな感情にとらわれがちで、「いずれ耳が聞こえなくなるのでは?」「一生治らないのでは?」など、さらに不安を大きくしてしまうこともあります。
そのような偏った考え方の癖に気付き、「少しくらい耳鳴りを感じても、普通に生活できている」という認識ができるように考え方を変えるサポートをします。

よくあるご質問

1)耳鳴りで受診が必要になるのはどんな時でしょうか?


疲労や睡眠不足で起きる一時的な耳鳴りで、すぐに症状が治まるようであれば様子を見ても良いですが、症状が長く続く時や一旦止んでもまたぶり返すような時には耳鼻咽喉科を受診しましょう。
特に、片側だけの耳鳴りの場合や、めまい、難聴、歩行困難、しゃべりにくい、というような症状を伴う時は、至急治療が必要な場合もありますので、なるべく早く、詳しい検査を受けましょう。

2)夜になると耳鳴りが気になり、眠れません……。

いろいろな生活音がする日中と違い、夜間は周囲が静かになるため、耳鳴りがますます気になって眠れなくなってしまう場合も少なくありません。
どうしても気になってしまう場合は、「テレビやラジオをつけたままにする」「音楽を聴きながら眠る」というのも一つの方法です。(但し、あまり大きな音だと逆効果です)
耳鳴りは気にすれば気にするほど、精神的なストレスになり、症状が余計悪化してしまうこともあります。耳鳴りによる睡眠不足が続く場合は、早めに医師に相談することをおすすめします。

3)耳鳴りを予防する方法はありますか?

耳鳴りはさまざまな要因が複雑に絡み合って発症するため、予防には、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠など、日頃から規則正しい生活を心がけ、体のコンディションを良くしておくことが大切です。
また、発症にはストレスも大きく関係していると考えられています。スポーツやカラオケ、おしゃべり、アロマテラピーなど、ご自身が楽しめることで、適度なストレス発散をするようにしましょう。

4)風邪を引いてから耳鳴りが治りません……。

風邪を引いた時、耳鳴りが起こることはよくあります。
鼻が詰まると、鼓膜の奥にある中耳と鼻をつなぐ「耳管(じかん)」まで詰まってしまうことがあるため、耳鳴りや耳の詰まり感を感じることがあります。

耳管を通して中耳が細菌に感染すると急性中耳炎を起こす場合もあるので注意が必要です。
軽症であれば自然に治る場合もありますが、悪化すると鼓膜を切開して溜まった膿を出さなくてはならない場合もあります。風邪を引いた後に耳鳴りが続く時や、耳の痛み、聞こえにくさを伴う時は、早めに耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。

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